いちばん笑えるAIはどれ?人気の4モデルで本気検証
著者 Chatday Editorial Team ·
レインコートを着た不機嫌な犬の写真にキャプションを付けてもらったところ、4つのAIのうち3つがまったく同じネタを出してきました。「この空の責任者を呼んでほしい」というものです。
最初の試行で気づき、その後も何度も同じことが起きました。そこで、きちんとしたテストにしてみることにしました。いまChatdayで使える特に強力な4モデルに、同じ4つの小さなお笑いのお題を出し、返ってきた答えを正直に評価します。参加したのはGPT-6.1、Claude Opus 5.5、Gemini 4 Argon、Grok 4.7です。以下に引用する回答は、どれも各モデルが実際に書いたものです。手直しは一切しておらず、省略した箇所はその旨を明記しています。
全AIに出した4つのお題
「何かジョークを言って」はやめました。正直、そんなお願いをする人はあまりいません。代わりに、実際にAIに頼みがちな「笑い」を選びました。
- 誕生日カード:40歳になる同僚のダナさんへ。いいペンを持っていってしまうことで有名な人です。40語以内で、やさしく、意地悪はなし。
- Instagramのキャプション:小さなレインコートを着て、雨にすっかりご立腹のゴールデンレトリバー。15語以内。
- オリジナルのジョーク:猫はなぜテーブルの上の物を落とすのか。
- 60語の乾杯スピーチ:親友サムの30歳の誕生日に。サムは以前、IKEAで2時間迷子になったことがあります。
どのモデルにもまったく同じ文面を渡し、追加の指示や「あなたはコメディアンです」といった設定は付けていません。キャプションはモデルごとにさらに2回ずつ実行し、試すたびに答えがどれくらい変わるかも確認しました。評価の軸は4つです。意外性があったか、こちらが伝えた細部をちゃんと生かしているか、グリーティングカードの決まり文句ではなく人間らしく聞こえるか、そして条件を守っているか。
先にお伝えしておくと、4モデルともルールはしっかり守りました。乾杯スピーチは英語で59〜61語に収まり、カードはすべて40語以内、ダナさんへの意地悪もありませんでした。差が出たのは、ジョークそのものの中身です。
第1ラウンド:誕生日カード
ペンの話はどのモデルにとっても狙いやすいネタで、2つのモデルが同じオチにたどり着きました。
40歳おめでとう、ダナ! 40年間ずっと素敵なのに、いいペンはいまだに1本も返ってきていません。みんなでお金を出し合ってプレゼントを用意したけれど、このカードに名前を書くペンが見つかりませんでした。最高の一日を!(Claude Opus 5.5)
私たちの大好きな同僚で、社内一のペン泥棒、ダナの40歳の誕生日おめでとう! このカードにサインしたかったのに、いいペンは全部あなたが持っているんです。それでも大好きです! 素敵なお祝いを!(Gemini 4 Argon)
このラウンドは、間の取り方でClaudeの勝ちです。「カードに名前を書くペンが見つかりませんでした」が効くのは、もうジョークは終わったと思ったところに、ひと呼吸遅れて飛んでくるからです。Geminiも同じネタですが、オチを説明してしまっています。
GPT-6.1はダナさんを「正式にクラシックの仲間入り」と呼び、「『借りる』必要のないペン」で締めました。やさしくて無難です。Grok 4.7はいちばん短い24語で、みんなでペンの行方を知らないふりをしながら「いいペンに恵まれる」一年を願いました。温かいのですが、読む前から予想できてしまうネタです。
第2ラウンド:レインコートの犬
ここから様子がおかしくなります。各モデルの最初の回答はこちらです(絵文字は削除しました)。
| モデル | キャプション |
|---|---|
| GPT-6.1 | 「小さなレインコート。大きな不満。天気の責任者と話をさせてください。」 |
| Claude Opus 5.5 | 「レインコートは着た。それでも濡れた。空の責任者を呼んでほしい。」 |
| Gemini 4 Argon | 「空の責任者と話をさせてください。今すぐに。」 |
| Grok 4.7 | 「このレインコートはかわいい。でも雨は個人攻撃だ。」 |
責任者が3人も登場しました。モデルごとにさらに2回ずつ実行したところ、Geminiは2回とも一字一句同じ文を返してきました。「空の責任者と話をさせてください、お願いします。」Claudeは1回はまた空の責任者に戻り、もう1回は「空に正式な苦情を申し立て中」に切り替えました。全12本のキャプションのうち、半分が責任者を呼んでいました。
目立ったのは、このネタを避けた2つです。GPT-6.1の2回目「このレインコートが守ってくれるのは毛並みで、気持ちまでは守ってくれない」はいい一文です。そしてGrok 4.7は自分の声を見つけてぶれず、「コートは了承した。雨は了承していない。」をほぼ同じ言い回しで2回答えました。このテストで最高のキャプションで、ちゃんとその犬が言っているように聞こえます。
同じ質問でも毎回答えが変わったり、逆にうんざりするほど同じだったりするのも、これで説明がつきます。詳しくはAIが毎回同じ答えを返さない理由で解説しています。
第3ラウンド:猫のジョーク
今回は空の責任者は登場せず、そのぶん答えの質も上がりました。
- Grok 4.7:「猫がテーブルの物を落とすのは、床が人事評価で落第し続けているからだ。」
- Claude Opus 5.5:「猫がテーブルの物を落とすのは、重力なんてただの仮説にすぎず、猫はとても徹底した査読者だからだ。」
- GPT-6.1:「猫がテーブルの物を落とすのは、重力にポイントカードがあって、マグカップをあと1個落とせば昼寝1回無料だからだ。」
- Gemini 4 Argon:「猫はなぜテーブルの物を全部落とすの? もし地球が本当に平らなら、自分の手で片付けておきたかったから。」
ClaudeとGrokは接戦です。Grokのほうが短くて意地悪で、いかにも猫らしい。Claudeのほうはアイデアが一枚上手です。GPT-6.1のポイントカードは楽しいものの、一度読み直さないとピンときません。Geminiの地球平面説ネタはこのテストでいちばん弱いオチで、少し考えると理屈が成り立たなくなります。
第4ラウンド:サムへの乾杯スピーチ
長めのジョークでは、小さな物語を組み立てられるモデルが有利になります。このラウンドでははっきり差がつきました。
Claude Opus 5.5は、サムが「気力とミートボールへの希望だけで生き延びた」と語り、そこから話をひっくり返しました。「売り場の矢印には苦戦するかもしれないけれど、友だちとしての道に迷ったことは一度もない」。これは本物の乾杯スピーチです。そのまま立ち上がって言えます。
いちばん情景が浮かんだのはGrok 4.7です。サムは「ミートボールとランプと、私たちが一生語り継ぐことになる話」を抱えて出てきて、スピーチは「ソファの間で迷っていても、私たちはあなたが大好きだ」で締めくくられます。Gemini 4 Argonは笑いより温かさを選び(「一緒に迷子になるなら、あなた以外に考えられない」)、とても素敵で、食事会で本当に欲しいのはこういう言葉かもしれません。GPT-6.1は「最初から組み立て済みの家具」に恵まれる10年をサムに願うという、単独では最高の一文で始めましたが、最後はグリーティングカード風の言い回しに落ち着いてしまいました。
結局、いちばん笑えるAIはどれ?
今回の実行結果をもとにしたスコア表です。あくまで小規模なテストでの私たちの判定で、研究機関のベンチマークではありません。笑うポイントは人によって違うはずです。
| 得意なこと | 弱点 | 勝ったラウンド | |
|---|---|---|---|
| Grok 4.7 | はっきりした声で放つ、短くとぼけた一言 | カードのようなやさしい内容では無難になりがち | キャプション、猫のジョーク(同点) |
| Claude Opus 5.5 | 間の取り方と、小さな物語を積み上げるジョーク | 責任者ネタにも引っかかった | カード、乾杯スピーチ、猫のジョーク(同点) |
| GPT-6.1 | 冒頭の一文が見事、ひねりの効いた発想 | 最後は丁寧でありきたりに | 単独勝利はなし。ただし改善後は最高の一文(後述) |
| Gemini 4 Argon | 温かさとやさしさ | 同じことを繰り返し、オチを説明してしまう | なし |
グループチャット用にルールをひとつだけ覚えるなら、一言ネタはGrok、物語のあるものはClaudeです。笑いよりやさしさが欲しいときは、Geminiを選びましょう。
これは各モデルのスタイルから予想される結果とも一致します。Grokは生意気さを出すように調整されていて、Claudeは慎重で間の取り方がうまく、Geminiは上品で親しみやすいままです。こうした個性がどこから来るのか気になる方は、AIモデルに個性の違いがある理由で解説しています。
4モデルすべてが面白くなった、たった一行のプロンプト
責任者ネタがどうにも気になったので、最後にもう一度だけ、2文を足してキャプションを頼みました。ありきたりなジョークは避けること(「責任者を呼んで」や「ご機嫌ななめ」は禁止)。この犬にしか思いつかないような、妙に具体的な内容にすること。
すべてのモデルが良くなり、順位も入れ替わりました。
- GPT-6.1:「このレインコート、緊急用の『道ばたチーズ』を入れるポケットがひとつもない。無責任すぎる。」
- Claude Opus 5.5:「郵便屋さんに報告する。外のことは彼の担当だよね?」
- Grok 4.7:「あのひなたの場所と約束があったのに。」
- Gemini 4 Argon:「空が許可なくお風呂のお湯を落としてくるせいで、うるさいバナナの皮を着せられている。」
緊急用の道ばたチーズは、この日AIが書いたものの中でいちばん笑えました。しかも、それまで1ラウンドも勝っていなかったモデルからです。Claudeの郵便屋さんネタも僅差の2位で、犬が世の中をどう勘違いするかをぴたりと突いています。つまり、AIがありきたりなジョークを返してきたら、原因はモデルではなく頼み方にあることが多いのです。お決まりのオチを禁止して、あなたの状況にしかない細部を求めてみてください。
AIのユーモアについて研究でわかっていること
今回のテストは小規模ですが、もっと大きな研究の結果とも一致します。PLOS ONEに掲載された南カリフォルニア大学(University of Southern California)の2024年の研究では、ChatGPT 3.5が書いたジョークは、一般のボランティアが書いたジョークと同じくらい、あるいはそれ以上に面白いと評価され、評価者の約70%がAIのほうを好みました。別のパートでは、AIが書いた風刺的な見出しも、The Onionのライターが書いた本物の見出しに劣らず面白いと評価されています。
プロのコメディアンの評価はずっと厳しいものでした。Google DeepMindの研究では、現役のお笑い芸人20人とワークショップを行い、多くの人がチャットボットは執筆パートナーとしてあまり役に立たないと感じました。ある芸人は、その出力を「1950年代のクルーズ船のお笑いネタ、ただし人種差別は少しだけ控えめ」と表現しています。
どちらも事実でありえますし、今回のテストはその理由を示しています。手早くてやさしい誕生日カードなら、AIは平均的な人を軽く上回ります。苦手なのは意外性です。意外性とは、いちばん「ありそうな」答えの正反対だからです。だからこそ、具体的なプロンプトがこれほど大事なのです。
今回のテストでいちばん気に入った使い方はこれです。Grok 4.7に案を5つ出してもらい、気に入ったものをClaudeに貼り付けて、間の取り方を磨いてもらいます。2つを並べて確かめたいなら、Grok 4.7とClaude Opus 5.5の比較もどうぞ。