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AI が英語だと賢く聞こえる理由

著者 Chatday Editorial Team ·

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AI が英語だと賢く聞こえる理由

日本語やポーランド語、トルコ語で AI に質問すると、答えは速く、流れるように返ってきます。まったく同じ質問を英語で投げかけると、何かが微妙に変わります。答えが少しだけ鋭い。整理が行き届いている。自信がある。

気のせいではありませんし、あなたの書き方のせいでもありません。この差は実在し、測定もされていて、理由はとても単純です。これらのモデルは、読んできたものの大半が英語だったのです。

モデルが読んだインターネットは、ほとんどが英語

言語モデルは、ウェブから集めた膨大な量のテキストを読んで学びます。そして、そのウェブは大きく偏っています。

学習に使われる大規模なウェブアーカイブを調べたレビューは、数十億ページを収集した公開データ Common Crawl の2023年終盤版を分析しました。英語はその約44%を占めていました。2位のドイツ語は約5%。残りをその他すべての言語が分け合っています。

これを現実の世界と比べてみてください。言語データベースによると、第二言語として習得した人まで含めた英語話者はおよそ15億人、だいたい6人に1人という規模です。つまり、人類の6分の1が使う言語が、読み物のほぼ半分を供給していることになります。

モデルが英語をひいきしようと決めているわけではありません。単に、英語での練習量が桁違いに多いだけです。あらゆる慣用句、ぎこちない言い回し、風変わりな例外は、カタルーニャ語やベトナム語より英語で何千倍も多く登場します。そして物を言うのは練習量です。

あなたの AI は、答える前におそらく英語で考えています

ここが驚かれる部分です。あなたが自分の言語で書いても、モデルがその言語で考えているとは限りません。

2025年の研究は、多言語モデルが答えを出す最中に内部で何が起きているのかを調べました。研究者たちは、入力と出力がどの言語であっても、これらのシステムが重要な判断を英語に最も近い表現空間で行っていることを突き止めました。彼らの言葉を借りれば、モデルは意味を担う語についてまず英語的な形のものを生成し、そのうえで目的の言語に変換しているのです。

英語の本で育ち、いまはあなたのオフィスで働いている優秀な同僚を思い浮かべてください。あなたの話は完璧に通じます。ただ、どこか途中の段階で思考は母語で進んでおり、返ってくるものは翻訳の工程を一度くぐっています。

ふだんは気づきません。気づくのは、冗談がすべったとき、慣用句が逐語訳のまま出てきたとき、あるいは言葉づかいは技術的に正しいのに場の空気からずれているときです。

あなたの言語のほうが高くつき、容量も早く尽きる理由

もうひとつ、より機械的な理由があります。こちらは賢さとは無関係です。

モデルはあなたの文章を読む前に、トークンと呼ばれる小さな断片へ刻みます。ざっくり言えば、トークンとは単語のかけらです。この刻み方は主に英語に合わせて調整されているため、英語は効率のよい断片を得られる一方、他の言語ははるかに多くの断片へ分かれてしまいます。

この点を調べた研究では、同じ一文が言語によっては英語の最大15倍のトークンを消費することがわかりました。ラテン文字を使わない言語ほど不利になります。

ここから3つのことが起こり、そのすべてを体感できます。

  • 上限に早く届きます。 AI の作業メモリはトークン単位で数えるため、同じ文書でもあなたの言語のほうが多く消費します。
  • 費用が高くなることがあります。 トークン単位で課金されるサービスなら、断片が増える言語では同じ作業でも高くつきます。
  • 遅く感じることがあります。 断片が増えるほど、モデルが処理する量も増えます。

これは罰ではありません。英語のテキストに合わせて調整された設計の副作用であり、気づかないうちに体験の質を左右しています。

実際のところ、差はどれくらい?

無視できない大きさで、しかも非常にばらつきがあります。MMLU-ProX という多言語ベンチマークは、およそ12,000問の試験形式の設問をそのまま29言語へ移しました。同じ設問、違う言語、同じモデルという、きれいな比較になります。

傾向は一貫していました。モデルは文章の多い言語では好成績を収め、ネット上の材料が少ない言語では成績を落とし、最も強い言語と最も弱い言語の差は最大でおよそ24ポイントに達しました。良い点数が70前後というテストで24ポイント落ちるのは、自信のある専門家と足元のおぼつかない生徒ほどの違いです。

あなたの言語の位置該当するのは期待できること
非常に豊富英語最も鋭い推論、最も自然な慣用表現、最も安定した書式
豊富日本語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語、ポルトガル語日常的な用途では英語に近い。ときどき硬い言い回しが混じる
中程度ネット上の文章量が少なめの多くの欧州・アジアの言語答えは良好。翻訳調が強まり、地域固有の事実で取りこぼしが増える
乏しい話者の少ない言語やアフリカの大半の言語推論が明確に弱く、自信を持った誤りが増える。すべて確認が必要

正直な注意点が2つ。日常の質問は試験よりずっとやさしいので、実際に感じる差は数字ほど大きくないのが普通です。そしてこの数字は数か月ごとに動きます。そこで良い知らせにつながります。

差は縮まっています。しかも意図的に

各研究機関は、多くの言語で学習させることが慈善ではなく性能向上そのものだと気づきました。

2026年の論文はこれを直接検証し、学習時に言語を増やすと全体的に成績が上がると結論づけました。データの少ない言語は大きく伸び、データの多い言語は落ちることなく水準を保ち、英語以外の言語をたった1つ加えるだけでモデルの英語まで良くなりました。著者らは、英語だけの学習はおおむね最適とは言えないと述べています。

だからこそ、モデルは世代を重ねるごとに、あなたの言語で少しずつ自然に聞こえるようになります。そして下記の工夫も数か月ごとに試し直す価値があります。自分の言語に強い AI はどれかという答えは、変わり続けているからです。

自分の言語で答えの質を上げる4つの方法

1. 言語と語調の両方を指定する

自分の言語で書いてうまくいくのを期待するだけでは足りません。はっきり伝えましょう。たとえば、日本語で、実際に人が話すような自然な日常の語調で答えてください、というように。

効き目が大きいのは最後の部分です。放っておくとモデルは翻訳調の硬い声色に流れます。ネット上の英語以外のテキストの多くが、まさにその調子だからです。

2. 自分の書き方を見せる

自分で書いた文を2つか3つ貼り付け、その声色に合わせてほしいと頼みます。望むトーンを説明するよりずっと効果的で、どの言語でも AI 文章の人工的な感触を消す最短の方法です。

3. 難しい質問では、考える工程と答える工程を分ける

本当に難しい質問なら、英語で尋ねて答えは自分の言語で求める、という手を試してください。英語的な中間工程があることを踏まえれば、これが効く場合があります。

効く場合がある、というだけです。いつもではありません。確かめるのに追加のメッセージが1通かかるだけなので、推論そのものが難所である場面では試す価値があります。

4. プロンプトではなくモデルを変える

ほとんどの人が試さない一方、たいていこれが決め手になります。研究機関ごとに学習に使う言語の配合が違うため、あなたの言語での得手不得手は宣伝から想像するより大きく開きます。同じプロンプトでも、あるモデルでは見事に決まり、別のモデルでは硬くなる。これはAI モデルごとに答えが違う理由の一例です。

Gemini 3.1 ProClaude Sonnet 5 は良い出発点ですが、鵜呑みにする必要はありません。自分のプロンプトをいくつかのモデルに通し、どれが地元の人らしく聞こえるか確かめてください。

新しいモデルを試すときの3つのプロンプト

そのモデルが自分の言語で使えるかどうかは、ランキングを見てもわかりません。自分で30秒試せばわかります。私たちが見ているのは次の3点で、それぞれ拾えるものが違います。

  1. 慣用句か冗談。 地元の人しか使わない言い回しを説明してもらいます。理解ではなく翻訳しているモデルは、ここで露見します。
  2. 地域固有の情報。 住んでいる場所に特有で実用的なことを尋ね、そのうえで答えを検証します。自信満々の作り話が見抜けます。これがいちばん高くつく失敗です。
  3. 自分の声で書いた短い文章。 同僚へのメッセージを、いつもの語調で。硬さ、丁寧さのずれ、そして紛れもない翻訳調がここでわかります。

この3つを2つか3つのモデルで走らせてみてください。数分でお気に入りが決まりますし、それは最も有名なモデルとは限りません。

どうにもならない領域

限界についてはっきり言えば、モデルがもともと持っていない知識は、プロンプトでは足せません。

自分の言語のネット上の存在が薄いなら、欠けているのは学習データであり、気の利いた指示では埋まりません。地域の規則、地方ごとの法律の細部、小さな町の事情。どの言語でもモデルが最も堂々と作り話をするのはこうした領域で、行動に移す前に確認すべき場所です。

契約書、診断書、公的な書類など、実際に影響が出るものでは、AI の出力は下書きとして扱い、その言語に通じた人に読んでもらってください。会話ではなく純粋な翻訳が目的なら、そのために作られた翻訳ツールのほうがチャット画面より優れています。その手順はAI であらゆるものを翻訳する方法で紹介しました。

日常の用途ではその必要はありません。今のモデルは広く使われている言語を十分に扱えますし、自分の言語で書くほうが本当に伝えたい微妙な意味が保たれます。ただし本当に難しい推論問題では、両方を試して答えを自分の言語で求めてみる価値があります。
学習の大半が英語で行われているため、負荷がかかると英語に滑り戻ります。専門用語では特に起こりがちです。毎回のメッセージで自分の言語だけで答えるようはっきり指示すると、たいてい解決します。
言語によって異なり、新しいリリースのたびに変わるため、恒久的な答えは誰にも出せません。同じプロンプトを2つか3つのモデルに通し、自分の地域の人らしく聞こえるものを選んでください。
トークン単位で課金されるサービスならそうなります。研究では、同じ一文が言語によっては英語の最大15倍のトークンを消費することがわかっており、ラテン文字以外の文字体系が最も不利です。
下書きやメモ、日常のやり取りであればたいてい問題ありません。契約書や医療・公的な文書では最初の一稿として扱い、署名や送信の前にその言語に堪能な人の確認を受けてください。

まとめ

AI は英語だから賢いのではありません。英語での読書量が多く、練習量も多く、土台の仕組みもそれに合わせて調整されているだけです。この差は世代ごとに縮まっていて、その速さは多くの人の想像を超えています。より多くの言語を教えるほど、モデルはすべての言語で良くなる。研究機関がそう気づいたからです。

差が消えるまでの間、答えは自分の言語をあきらめることではありません。何がほしいのかを具体的に伝え、モデルに自分の声を見せ、最初に試した AI が自分の言語をいちばんうまく話すという思い込みを手放すことです。